ポモドーロテクニックの本質がわかってきたかも(3197文字)
1ヶ月ほど前、『Chill with You: Lo-Fi Story』というゲームを購入した。といっても、ゲームといえるのかどうか微妙なラインなのだけれど。作業用アプリなどといったほうがイメージが近いかもしれない。

プレイヤーはとある作業通話アプリで、サトネという女の子と作業通話をする。このゲームにはポモドーロタイマー機能がついている。ポモドーロタイマー機能を使うと、画面の中のサトネも作業をし始める。それだけ。
ゲームというにはあまりにツール然としていて、ゲーム性というものはほとんどない。ポモドーロタイマーで管理した作業時間が終わると、作業時間に応じて経験値が溜まり、サトネとの進行度が深まるので、ノベルゲーム的な要素はある。
それだけ、と言ったけれどゲームとしての要素が「それだけ」なだけで、その一点において非常に深堀りしている素晴らしいゲームである。画面の向こうで誰か(サトネ)が一緒に作業をしてくれている安心感、作業にちょうどいいゆったりとしたBGM、サトネが作業をする際の生活音、プレイヤーが自由に設定可能な環境音。それらは案外効き目があり、実際に僕が作業をする際のお供として利用させてもらっている。僕はまだ使ってないけれど、ToDoリストやスケジュール管理などもできるっぽい。作業管理がこのゲームひとつで完結する。
(ついでにストーリーもいい感じ。まだ途中なのでなんとも言えないけれど。単なる画面のゲームキャラが、少しずつ僕の友人「サトネ」になっていく感覚がある。このあたりも上手いが、話とずれるので割愛する。)
さて、そんなわけで『Chill with You: Lo-Fi Story』は素晴らしいゲームなのだが、今回はゲームのレビューをしたいわけではなく。ポモドーロテクニックについて、ようやく理解をしてきたかもということを書きたいのだ。ポモドーロテクニックとはなんぞやという人は以下を参照されたい。丸投げ。
ポモドーロテクニックについて、これまでも知ってはいたし、実際に実践もしてみてはいた。ただ、N分作業してM分休憩するということの意味についてはピンと来ていなかった。ただ漠然とタイマーを回していた感じ。
しかし、『Chill with You: Lo-Fi Story』についているポモドーロタイマー機能を使ったところ、認識が一変した。ああ、ポモドーロテクニックの本質とは、休憩を許すことではなかったのだ。その気付きは後で語るとして、それに気付いたきっかけから話そう。僕に気付かせたきっかけは、『Chill with You: Lo-Fi Story』の視覚的な分かりやすさだった。
くわしく述べる。先ほども述べた通り、このゲームはポモドーロタイマーという至極シンプルな機能のみを持つ。モニターを占有してまでやることではなさそうだというのが第一印象だった。ただ、そうやって目に入ることによって、作業と休憩が明瞭に分かたれるのだ。


これにより、作業中に画面を見れば、タイマーが作業中なのか、もしくは休憩中なのか、すぐに判別できる。その結果、プレイヤーの時間は作業するべき時間と休憩するべき時間に塗り分けられる。プレイヤーはただそのポモドーロタイマーに従って、作業をしたり休憩したりする。つまりは、判断がシンプルになるのだ。
考えてみれば、僕らが作業を始めるとき、「作業するべきかしないべきか」という判断にかかわる要素は非常に多岐にわたる。作業はしないといけない。でも根を詰めすぎるとよくないから休憩も必要。18時までに終わらせないといけないからまじめにやらなきゃ。でも少し糖分も摂りたい。それと別のタスクもやらなきゃ。そのために優先順位を考えて。などなど、例を挙げればきりがない。
通常はそれら多数の要素を足し引きして、作業するか休憩するかを決めていく。でも、それは作業に回すべきリソースを「作業するべきか」という"判断"に回すことになるのでは? そのリソースを作業に純粋に注げれば、生産性が上がるのでは???
そう、ポモドーロテクニックの本質は休憩を許すことではない。N分の作業とM分の休憩という風に時間を塗り分け、「作業するべき時間」をできるだけシンプルに浮き彫りにすることがその目的だったのだ。その区分に沿って作業に集中すれば、おのずと作業効率は上がる。ポモドーロタイマーに従えば、「作業するべきか」ということは考えなくてよくなるからである。「N分の作業とM分の休憩」のNとMにどんな数字を入れるかは重要ではない。それがどんな比率であれ、塗り分けてただそれに従うことが重要なのだ。
だから、タイマーが作業中を示しているときは作業に集中しないといけないし、休憩中なら作業に手を付けてはいけない。「あと1分だけ書き足したい」、「もう少し休みたい」、そういった気持ちをもとにタイマーの指示をねじまげると、また「作業するべきか」という"判断"が顔を出す。ただタイマーに機械的に従うことで、"判断"に割くリソースを殺すことができるのだ。
そういう意味では、ポモドーロタイマーに特化しているこのゲームは非常に本質をついていると言える。このゲームを起動すること自体が作業に自らを運ぶことになるのだから。N分の作業とM分の休憩を計るだけなら、キッチンタイマーでもいいし、なんならスマホでも計れる。ただし、キッチンタイマーは他のいろんな用途にも使う。スマートフォンに至っては、用途はほぼ無限に思い浮かぶくらいだ。でも、『Chill with You: Lo-Fi Story』は作業の補助にしかならない。そしてこのゲームでできることは、ほとんどポモドーロタイマーだけなのだ。
だから、このゲームを立ち上げることで、おのずとポモドーロタイマーを使い、自然と「ポモドーロタイマーに機械的に従う」という状態になっていく。ポモドーロタイマーが「作業」と「休憩」を塗り分けるのなら、このゲームを立ち上げることは「通常の自分」と「作業を行うためポモドーロタイマーに機械的に従う自分」とを塗り分けることになると言えるだろう。そうして、入れ子構造的に僕は作業に集中していく。
(ちなみに。流れるLo-Fiな音楽の代わりに、PC上の音楽ファイルを再生することもできる。できるのだが、個人的にはあえて好きな音楽を流さないほうがいい感じがした。好きな音楽は日常で聴くもの、ゲーム内BGMは作業中に聴くものという風に切り分けたほうがポモドーロタイマーに集中できると感じたからである。これもまた塗り分け。)
いや、しかし、『Chill with You: Lo-Fi Story』、あなどっていた。僕の2枚しかないモニターのひとつを女の子が作業してる姿を表示するだけの用途に使うなんて! 贅沢にもほどがある!! それに、こんなタイマーしかないゲームを買ったところでタイマーしかできない!!! そう思っていたけれど、その贅沢さが分かりやすさを生み、機能の特化がルーティンを生んでいた。今では作業をすると決めたときにはできるだけ立ち上げている。大きな声で言えないけれど、テレワークのときも横で立ち上げている。本当に便利。
そんなわけで、ポモドーロテクニックの本質が分かったかもという話でした。宣伝じゃないけど、『Chill with You: Lo-Fi Story』のリンクを貼っておきます。現代の作業通話アプリの決定版かもしれない。作業通話じゃないけど。オススメです。なんか2月26日まで20%オフらしいよ。