葉脈と潮流

純粋さを磨き、迷わない。

20220513日記 三つ目の答え、ハルタ、花火

最近何かを思った時にsiriを呼び出してメモを取るようにしている。

音声コントロール呼び出し*1

「新規メモ作成」と呼びかけ

メモが作成されるので音声で書きたい内容を入力

これだけで気軽にメモを残せる。思ったことをすぐに残せるので便利。僕は割とすぐに考えたことを忘れちゃうから。

今日はその音声メモの恩恵で覚えていることを書いていこうと思う。日記、残すぞー。

 

ハチクロ、三つ目の答え

最近考え事をしていると『ハチミツとクローバー』の「三つ目の答え」周りの考えに行き着くことが多い。「三つ目の答え」というのはハチクロの印象的なシーンで、読んだことのある人ならこの一言で思い出せると思う。

知らない人のために簡単に状況の説明をする。そのシーンでは山田という女の子が子供のころから仲良くしていた商店街仲間の男の子たちから一方的に告白を受けて困惑していた。それとは別に山田はずっと真山という男の子に片思いを続けている(すでに告白して断られている)のだが、そんな自分と真山との関係を商店街の彼らと自分の関係に重ねてしまい、彼らの告白にどう答えればいいかを迷っていた。山田は美大の花本先生に相談し、花本先生が言ったセリフが以下である。

「努力する」か「諦める」 か どっちかしかないよ 人間に選べる道なんて いつだってたいてい この2つしかないんだよ みんなには正直に自分の気持ちを話すしかないよ あとは向こうの決める事だ 努力するか諦めるか 彼らが選ぶんだ

また、その少し後に花本先生はモノローグで続けて以下のように述べている。

このときひとつ嘘をついた 3つあったんだ 選択肢はほんとうは -でも2つしかないと信じていた方が道はひらけるから  3つめの答えを僕は口にしない

直接的には「努力する」か「諦める」かを選ぶのは(おそらく山田に断られる)商店街の男の子たちである。ただし花本先生は山田の片思いを知っているので、話している山田にも「努力する」か「諦める」かのどちらかを選ぶしかないと示しているのだろう。

説明が長くなったが、この一連の台詞について最近再び噛みしめはじめている。
(もっと詳しい説明は以下のリンク先で。引用部分は以下のサイトからコピペしている。)

www.hatehate.jp

 

で、この一連の台詞を思い出しがちという話だった。最近自分の選択でも他人の相談に乗る場合でも、結局「努力する」か「諦める」かの二択だなと思ってしまう。究極、だいたいの悩みは簡略化すると「Aしたい、でもBという懸念点がある、どうしよう」なのだと思う。そこでAを達成することを優先するかBのリスク回避を優先するか、基本的にはその二つしかないなと僕は結論付けてしまう。人の相談に乗るときも「頑張る」か「降りる」しかないよね、とかなりの頻度で言っている。(ハチクロのことはあまり頭になくて、言った後毎回「これハチクロだなー」と思い返している。)

たとえば「人と仲良くなりたいけど嫌われるのが怖い」だと「頑張って一歩踏み出したりコミュニケーション技術を向上させる」か「嫌われたり失敗して傷つくのを避けるために仲良くなるのを諦める」かのどちらかを選ぶしかない。失敗のリスクなしに成功する方法は基本的に存在しないので、どちらを優先するか選ぶ必要があるのだと思う。

 

ちなみに、「努力する」と「諦める」と、あと一つの三つ目の答えは作品では明示的な答え合わせがない。僕は「保留する」だと思っている。ネットを見ていても似たような見解が多いようだ。何もしないことでAの達成をすることはないが、Bのリスクを負うこともない。保留なのでAを達成する可能性はまだ残されている。

でもこの保留が本当に猛毒で、リスクを取る勇気はないのに達成への未練は残ってしまうのだ。欲しいものを得られない欲求不満が重なり、しかしリスクを覚悟するタイミングがないままズルズルと日々が過ぎていく。失敗による大きなダメージはないが欲求不満による小さなダメージは蓄積する。だから、「2つしかないと信じていた方が道はひらけるから」という言葉は本当に適切な言葉なのだと思う。言ってること自体もそうだし、その主張のための言葉選びも本当に絶妙。

 

また、「2つしかないと信じていた方が道はひらけるから」ということはその二つのうちの一つ、「諦める」は道を開きうる考えだというのもなかなか面白いと思う。諦めというとマイナスイメージを持つ人も多いけれど、でもそれに打ち込んだり保留したりする時間を別のことに回せるし、覚悟を持って諦める選択を選ぶことで未練を減らすこともできる。あとは自分の周りの人たちは自信がなくて、自分が諦める選択を取ることを許せず全ツッパ*2してしまうことが多いように思うので、そういう意味でも「諦める」というのは大事なのだと思った。自分が一度望んだものを諦めることを許そう。

 

ハルタを定期購読すると決めた日

引越しを決めたので家の掃除をしている。去年の年末くらいにハルタという漫画雑誌を付録目当て*3に一冊買って積んでいたのだけど、紙ごみとして捨てる前にちょっと読んでみた。

www.harta.jp

 

ハルタは派手さはないけれど丁寧な漫画を集めているイメージがある。僕が一二を争うレベルで好きな漫画『ハクメイとミコチ』を連載しているし、有名どころでは『ダンジョン飯』も載っている。コミティアで漫画買う人が好きそう(雑)。

そんな気がしつつも積んでいて読んではなかったのだが、そういう作品は実際読むと予想通りいいもので、例によって読んでいないことを後悔した。雑誌の全体的な雰囲気が好きすぎる。あと付録とは別にドールハウスの漫画があったのでよかった。(切り取ってそこだけ保存した。)

インプットが苦手(新しいものに触れられない)な僕にとって定期的に見る習慣がつくというのはすごく重要で、何かの雑誌を定期購読しようとは思っていた。最近創作をちゃんとやると決めているというのも大きい。ジャンプとかでも良かったのだけど、広く売ることを目指しているジャンプよりもピンポイントに自分の好きを追求しているハルタのほうが自分に合っているのかなと思った。

最近ミニマリスト気味なので1000ページ近くある本が年に10冊届くのはちょっと気になるが、まあものは試しだ。定期購読ではないけれど電子版もあるらしいし、いろいろ検討するぞ。読めるかがちょっと心配。

ちなみに。ファッション雑誌も定期購読しようと思っている。FUDGEがカワイイ服多いからFUDGEかな。女の子の雑誌だけど。男の子の雑誌は良いの見つけたら個別に買ってる。ファッション雑誌も隅から隅まで読むと楽しい! ニューリリースの音楽欄が思ったより渋い選曲をしててとても良かったりする。

 

花火を探して夜に駆けた

20時、家で古紙を整理していたら突然外から異音がした。シェアハウスの三階の窓から見ると遠くで花火が上がっていた。金曜でしかも雨の中、何故花火なのかは全く分からないが、日常に突如現れた非日常を逃したくなくて花火がよく見える場所を探してスマホだけ持って急いで飛び出した。

周りが住宅街なので遠くの花火は建物や木々に邪魔されてしまってなかなか見える場所がなかった。だいぶ開けた場所を見つけたが雲に反射して明るく見えるだけで、花火自体はほとんど見えなかった。20時10分にはもう上がらなくなってしまったので謎なまま取り残されてしまった。

それでも突然現れた花火を見るために近所を駆け抜けた(雨の中めちゃくちゃ走った)のはけっこう楽しかった。花火が見られるかも分からないし、いつまで上がってるかも分からない中で、できるだけのことをしてそれを楽しもうとする姿勢それ自体が良い体験だったと思う。ハクメイとミコチとかでありそうな話。

日常の小さな良さをしっかり見つけてそれを積極的に享受していくのって本当に大事だしやっていきたいと思っていたので、花火だと分かった瞬間に最低限の準備をして30秒で外に出られたことが本当に良かったと思う。そういうところ、本当に良いと思うよ(自画自賛)。

ついでに。花火がギリギリ見えなかった点から花火と重なった建物までの距離、その建物の高さ、平均的な花火の上がる高さ、花火の方角からどのあたりで上がっている花火なのかを算出したりした。宝ヶ池公園らしい(Twitterで答え合わせをした)。数学かじっていてよかったと思う一方、算出できることで余韻に浸るより好奇心の追究に心が向かってしまったのでちょっと野暮だったなと思った。知らないほうが良いこともある。難しいね。

*1:ワイヤレスヘッドホンのボタンから呼び出せるのでスマホが手元になくてもいい!

*2:麻雀用語。ロンされるのを恐れず、全く引く(防御する)ことなしに突撃すること

*3:巨人テーマの短編漫画アンソロジー