葉脈と潮流

純粋さを磨き、迷わない。

190603 スケール差の描写

 この間、pixivに一枚のイラストをアップロードした。初めてのスケール差のイラストだった。*1

www.pixiv.net

 

 常に小人について考えている、と豪語する割にはなぜこれまでスケール差のイラストを描かなかったかというと、スケールの違う人間を同時に一つの構図に入れるのが本当に難しいからだ。

 もう少し詳しく述べよう。単純に巨人と小人を同時に描くこと自体は簡単である。例えば巨人が構図に収まるようにキャンバスを調整し、その手のひらの上かどこかに小人を置くだけでよくある構図が一つ完成する。しかしこれだと小人が小さすぎておおまかなポーズしか分からない。巨大な存在の手のひらに乗せられてどんな表情をしているのか、それを伺い知ることはできないのだ。(例として過去絵を置いておきます、フェティシズム全開の少々下品な絵なのでサムネイル表示。小人は左下にいます。*2 )

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 例えば対処法としては小人にクロースアップして全身を映しつつ、巨人側も顔をキャンバス内にいれることでとりあえず両者の表情を描くことや、巨人をかなり奥に配置することで遠近法の力を借りてキャンパス内での大きさの差を実際のスケール差よりも小さくすることなどがある。巨人が出てくる漫画ではこれらの技法が結構頻繁に見られてますね。特に七つの大罪でよく見るイメージ。

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 もちろん問題点もあって、前者は巨人の身体の動きはほとんど描けないので若干小人偏重になるし、後者は距離的に遠いので巨人と小人が取れるコミュニケーションが種類が狭まってしまう。触れ合いなんて絶対描けない。

 スケール差のない普通のイラストなら、人間を二人描いてその二人がお互いにどんな感情を持ってその場にいるのかを描くのは難しくないけど、巨人と小人だと描ける情報が欠落してしまう。しかも巨人のみ、もしくは小人のみ情報が減るので、それは小人の絵や巨人の絵になってしまうのだ。僕は両方を描きたいので、それらの問題が解決しないうちは納得できる構図が出ず、描く気も全く起こらなかったというのが今までスケール差を長らく書いてこなかった理由だ。

 

 結局、問題の解決はシンプルな手段によってなされた。スケール差を小さくすることである。つい1年ほど前までは20~50倍のスケール差が好きだったのだが、冒頭のイラストのスケール差は大体たったの(?)5倍程度である。これなら小人の表情や動きも描きつつ巨人の見切れ部分も少なくすることができる。

 というかたぶん10倍以上の差がある存在とは満足にコミュニケーションも取れないし、その力の差によって小人の方からは畏怖が、巨人の方からは躊躇が強く表れて気の置けない関係になるのは無理な気がしてきています。スミレ(ネズミの子)は12cmなので人間とのスケール差はだいたい13倍くらいですけど、おそらくこういった理由によって居候している部屋の主である人間とは直接コミュニケーションは取らないんですよね。きっと基本的には猫の子(60cm弱程度)が仲介している気がします。

 閑話休題。色々考えたけれど、やっぱり10倍以上のスケール差になると巨人化小人かどちらかに重点をおいた構図しかとれないし、20倍以上になると両方を詳細に描くのは無理、という結論を得た。もちろんこれは一枚絵の話で、複数のカットを繋げられる映像作品や漫画ではその限りではないのだけど、それでも一つの画面で両方を描けないことには変わらないので簡単でないことに変わりはない。スケール差の映像をやるならやっぱりここがネックになるんだろうな、と思う。

 

 あと、実はこれが言いたかっただけなのだけど、ここまで考えたところで超弩級少女4946*3のことを思い出して感心してしまった。ヒロインが49.46mの巨大少女なので、そのスケール差は約30倍ですよ。MORUMO 1/10*4ですら10倍なのに。

 30倍って言ったら背を伸ばした状態の小人でも手のひらの中に隠せるサイズですよ。手のひらの小人より横にそびえたつ巨人の指の方が存在感あるのにどうやって描いてるんだ、って思って読み返してみたのだが、巨人と小人が同時に映るコマではさりげなくスケール差が15~20倍程度になってて感心した*5。たぶん同じような苦悩をしたんだろうな、怪獣と戦うなら30mより50mくらいの設定の方が迫力あるだろうけどかといって30倍も差があると表情を細かく描けないからさりげなくスケール差をいじくったりして。

 こういうバレないように誤魔化す狡さ、僕はすごく良いと思うし見習っていきたいなと思った。まあ僕は10倍前後の存在でも十分怖いし楽しいということを発信していきたいのでしばらくは使わないかもしれないけど。

*1:僕はpixivで過去絵を全て爆破したことがあり、その前にはアップロードしていたので厳密には初めてではない。なので過去作の中にはいくつかスケール差のイラストが見られたりする。

*2:脱線の脱線だけど、このころはまだ肌を肌色で描けてますね、健康的ですき。。

*3:2009年から2011年まで週刊少年サンデー超で連載された漫画。巨大な少女をヒロインに据えながら連載したために話題になった。全六巻。

*4:1985年から1987年まで月間少年キャプテンで連載された漫画。超弩級少女4946以前はほぼ唯一のまともに連載された巨大少女漫画として有名であった。ギャグ調だが意外と巨人の考察がしっかりしている。

*5:昔読んだときは全く気付かなかったので、この絶対スケール感は常に小人のことを考え続けた賜物とも言えますね。オタクキモ。