葉脈と潮流

純粋さを磨き、迷わない。

創作においての「ゴースト」という選択肢のススメ

この記事は伺か・伺的 Advent Calendar 2024(第2会場)の17日目の記事です。(遅刻してすみません!!!)

adventar.org

前日の記事(第2会場)はnetai98さんの「ゴーストを、作ろう」です。

note.com

 

------------------------

 

こんにちは。伺かアドベントカレンダーの6日目ではお世話になりました。墨鼠です。
6日目の記事ではゴーストを完成させる方法を書かせていただきました。

今回はこの世に生まれるゴーストを少しでも増やすために、また別の側面に光を当てたお話をしようかと思います。

伝えたいことを端的に言いましょう。あなたもゴーストを作ってみませんか? いや、作らなくてもいいので(作ってほしいけど)、ゴーストを作るという選択肢について、いちど考えてみませんか?

 

ゴーストを作るという選択肢

世の中に創作をしたいと思っている人はたくさんいる。漫画家を目指す人が数えきれないほどいるのを見れば明らかである。イラストレーターだって星の数ほどいるし。もちろん、漫画やイラスト、小説という媒体が合っているひともいると思う。でも、伺かでゴーストを作るという選択肢だって、あるんですよ……?

かくいうぼくも、創作においてのメディア(媒体)の選択として伺かを選び、ゴーストを作った人間である。伺かが大好きでゴーストを作ったというよりは、自キャラを描く手段として伺かを選んだという面が大きい。自分語りになるが、一度ぼくがゴーストを作ったいきさつについて話させていただければと思う。

 

小説や漫画が、描けない!!

そもそもぼくは10年くらいイラストを描いていた。始めは二次創作をよく描いていたのだけれど、自然とオリジナルキャラクターができ、そのキャラクターを描く頻度が上がっていった。夏に公開したゴースト『Adaptation』のキャラクターたちはもともとはよく描いていたウチの子たちである。

筆ペンで悠梨や鈴を描いてました。

ぼくだけかもしれないけれど、一次創作というのは必要性に駆られて描くものだと思っている。既に世の中にあるキャラクターで満足できない何かを満たすためにオリジナルで描いていくのだ。悠梨と鈴というキャラクターを現出させるためにそれは他人のために表現するものでもあるし、自分のために具現化するものでもある。つまり、ぼくにとってイラストというのはいつの間にか目的ではなく手段になっていたのだ。

そうなるとイラストという手段にこだわる必要はない。悠梨と鈴を描けたらなんでもいい。特にイラストではある一瞬のカットを切り出すことしかできなくて、重層的に描いていったりキャラクターの一連の動きを描いていくことは難しい。だから漫画を描こうとしてたことも、小説を書こうとしていたこともある。でも、漫画や小説って、書けない。ほんとうに、とってもとっても難しい。

 

たとえば、ある掛け合いを描こうとしたとして。悠梨がとある問いかけをされて、とある応答をして、その結果何らかの歩み方をして。描きたいことなんてそんな程度なのに、なのに、漫画や小説ってそれを描くためにその何倍のシーンを書く必要があるの!!! 音楽のサビだけ聴くよりイントロから通して聴いた方がちゃんと盛り上がるように、描きたいところだけでなく起承転結をしっかり繋げて全部を描いていってようやく完成するの。

もちろんそんなんじゃない軽めの文章も漫画もあるんだけど、ぼくって完璧主義だから。漫画を描こうとすると平気で50ページ超えちゃうの。たぶん小説でも長いのを書いちゃう。だからおそらく、完成せずに途中で投げ出しちゃうと思う。

 

伺かとの再会、そして閃き

そういう風に、小説も漫画も描くのは半ば諦めていたのだけど。ある日ハードディスクの整理をしてるときにパソコンの奥から掘り出した伺かを見て閃きが走った。伺かなら、世界を描けるんじゃないかって。

呼び出したゴーストたちはひとつひとつはとっても軽いトークをしていく。それ自体には簡単な起承転結と、ちょっとしたキャラクターのかわいさが付いているくらい。でも、そのトークが積み重なっていくと世界が見えてくる。そのゴーストがどんな場所にいて、誰と交流していて、どんなことを思っているか。ひとつのトークでは分からないキャラクターの息遣いも、数を重ねることで見えてくる。……これは、ぼくがやりたかった悠梨と鈴を生きているように見せること、それを可能にできるんじゃないかしら。そう思って、ぼくはゴーストの制作を始めた。

 

まったりゴーストを作ってみる

結果として。ゴースト作りは自分にはとても合っていたし、小説や漫画よりずっと楽だった。なんてったって数十~数百文字のテキストを書けばひとつのトークが完結するのだ。もちろんそれだけでは終わりではなく、それを何十トークも積み上げていく必要はあるのだけど、ひとつひとつは短くてよい。トークの数も決まっていないので、好きなだけ書いて出てこなくなれば終わりでよい。

仕事の休憩、電車の移動中、友人との待ち合わせを待つ時間、そういったところで思いついたらトークを執筆する。選別は後からまとめてするので、とにかく好きにトークを書いていく。10分あればトークが一つ書けるので、好きな時間に書き始めて好きな時間に終われる。

ぼくはそれを3ヶ月くらい続けてトークを溜めていった。書いた量は多いけど、少しずつ書いていったから負担はすごく少なかった印象。あとはそのトークの実装と、ゴーストとしての機能の実装を半月くらいかけて作って、完成!

拙作ゴースト『Adaptation』。

 

簡単とは言わないけど、ゆるく続けられるし、小さなトークを積み上げていけばそれだけで作品になる保証がある。デスクトップの端に立たせておく程度のマスコットだから、命を懸けて面白くなんてしなくてもいい。伺かは、ゴースト作りというメディアはそういう性質がある。そういう気楽さって、メディアとしてすごく魅力的じゃないですか?

 

だから。だから、伺かでゴーストを作るという選択肢がみんなにとって浮かぶようになるといいなと思っている。誰にも公開しなくてもいいの。作品として具現化するだけでも、キャラクターが自分の頭の中で想像するだけでは思いつかなかった動き方をしてくれたりする。漫画や小説が書けなかった人も、伺かならその想像もしてなかったキャラクターの躍動が見られるかもしれない。ぼくはそう思っています。(ついでにぼくに見せてくれるとうれしいけどね。結局ひとのゴーストを見たいだけ!)

 

 

いまこそ、逆に、伺か

おまけ。伺かって、今のコンテンツ消費の流れに合ってると思うんだけどな。そういう意味でも流行ってほしいし、流行りうると思っている。ひとつのコンテンツに腰を据えて向かい合うより、飽きたらすぐに次へ移っていく、コンテンツ飽和の時代。だからこそ、たくさんのゴーストがいてガチャ感覚でお迎えすることができて、気に入ったらたくさん触れ合える伺かはみんな楽しんでくれると思っているんだけどね。タブレットとかで立たせたりできないのかしら。Android用のベースウェア作れるお方!! どなたか!!!

言っておいて丸投げするのはよくないからね。せめて、ゴーストを作る人を少しでも増やせるかもしれない記事を書いてみました。少しでも人口増加に寄与できれば幸いでございます。伺か、流行ってほしいな。祈り。

 

おしまい。もしゴーストを作ってみたいかもと思った方は、先日書いた記事「初めてでもゴーストを完成させる15の方法」も見てみるといいかもしれません。よければぜひ!

indigomou5e.hatenablog.com

 

------------------------

 

明日の記事(第2会場)は安馬さんの「ダメ男一匹」です。記事というか、ゴーストみたい。よければそちらも是非。

cherry.narnaloader.ukagaka.net