葉脈と潮流

純粋さを磨き、迷わない。

低温調理のお話

 どうも、こんにちは。前回の記事から中三日という短いスパンです。すごいですね。ブログの当初の目的としての「自分の考えを書く」から料理を挙げるブログに変わりそうです。そもそも僕は考えを文字に起こすのが苦手なんだということに最近気づきました。どうしようもないですね。

 

 さて、先日、小林銅蟲氏の漫画「めしにしましょう」1巻が発売されました。めでたいことです。あの人は少しずつ一般向けっぽい漫画が描けるようになっていますね。小林銅蟲っぽさは残ってるからすごいです。頑張ってほしい。

 で、その漫画の中には低温調理という調理法が3度も出てきます。低温調理とは、60弱~65℃を保った湯の中に肉を放り込んで数時間以上放置するという調理法です。もともと興味はあったのですが、この漫画でしつこく登場したのが決定打となって非常にやってみたくなり、色々方法を探し漫画に出てきたローストビーフを調理してみることにしました。(この話は第1話なので無料で読むことが出来ます。)

www.moae.jp

 

 

 

 低温調理にはいくつかの方法があります。やることは温度を維持するだけなのですが、これがなかなかに難しい。先ほどの漫画に出てきた方法は風呂のお湯を出しっぱなしにし、浴槽内を一定温度に保ち続ける方法です。これは楽ですがちょっともったいない上にそもそも寮には風呂が無いので却下です。また、Anovaという低温調理器もあり、それは容器にセットすると自動で好きな温度に保つことが出来る優れものらしいのですが、2万円以上するので流石に買いづらいです。求める温度のお湯を作り、冷めたら温めなおす方法もありますがそれは面倒すぎます。

 結局、断熱性の高い容器を使って出来るだけお湯を作る回数を減らす方法しかありませんでした。というわけでそのために色々探し、以下のアイテムを入手しました。

 

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 お風呂用の温度計。これは買いました。探してみましたけど普通の温度計だと意外と50℃くらいまでしか測れないんですね。ちょっと高かったですけど浮きが内蔵してあって勝手に浮いてきてくれるのは正直助かりました。もしくは針型の刺して測る温度計も3000円くらいで売ってましたがあれを買っても良かったかもしれません。油の温度も測れますし。

 

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 発泡スチロールの箱。でかい。寮の厨房に落ちているのを拾いました。63℃のお湯を入れて2時間経ったあとでもまだ60℃に保ってくれるナイスガイ。これがあればAnova要らずですね(要ります)。発泡スチロールの溶解温度は70度以上らしいので安心。

 

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  お湯を出す機械(名前知らない)。計ってみたところ66℃までのお湯なら出せるようです。計った瞬間勝利を確信しました。沸騰したお湯(100℃)と10℃の水を2:1強で混ぜてもだいたい65℃くらいのお湯が出来ますが、その手間を省いてくれるいぶし銀。

 

 この3つさえあれば低温調理が可能です。意外と簡単。発泡スチロールの箱は手に入れにくそうですが、スーパーに行って頼めばもらえたりするんじゃないでしょうか。今無責任なことを言いました。

 

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 本日の主役です。デジャヴが起こっているかと思いますがそのとおりです。4日前と構図が同じですね。本当はモモ肉が良かったのですが、g200円超は高いです... どこの部位かも分からないし安肉なので一応長めに調理時間を取って60~63℃で6時間調理することにしました。ちなみに63℃以下の加熱は違法だそうです。

 

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 ジップロックに入れてスチロール箱に入れます。浮く温度計は確認が楽ですね。肉は入れた直後に色が変わり始めます。温度を上げすぎたか心配になってきます。底にある金属の物体は鍋敷きです。下面がお湯に触れてないとむらが出るので底上げしました。

 あとは蓋を閉め、60℃を切ったあたりでお湯を入れ替えます。かなり容積が大きい箱なので保温が効き、結果として入れ替え回数が少なくなるのは大きなメリットです。今回は6時間調理ですが入れ替えはたった3回と非常に楽です。

 

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 6時間経ったものがこちらになります。画像ではよく分かりませんが実際に見てもよく分かりません。表面は普通に焼いたように茶色くなり、周りに茶色い液体が染み出ています(ジップロックには肉しか入れていない)。漬けたチャーシューのようで非常に美味しそうです。

 とりあえずフライパンにオリーブオイルを敷き、表面を焼いてみます。画像は忘れました。また、周りの美味しそうな漬け汁ですが、嗅いでみると臭いです。おそらく血と灰汁が混ざったものだと思われます。一応一緒にすこし焼いてみましたが、臭いがひどくなり灰汁が残っただけなので捨てます。

 

 さて、焼いた肉を薄切りにしていきます。どうなったんでしょうか。

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 はい。勝ちです。というか何なんでしょうねこの色。明らかに美味いでしょう。どうみても違法な色ですよ。この画像何回見ても笑みがこぼれてくるんですよね。Twitterのヘッダーにしてもいいかもしれないですね。まな板はなぜか割れました。

 

 ポテトピューレも作ります。画像は無いです。作り方は先の動画を参照してください。茹で時間20分と書いてましたが大きめのジャガイモだと25分以上くらい見たほうがいいと思います。僕が作ったのは少し固い部分がありましたので。あとマッシャー必要ですね。お玉だと無理がありました。

 

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 盛って完成です。ピューレというよりポテトサラダっぽくなってしまいました。やはりミキサー欲しいですね。このお皿は実はかなり大きいのですが、比較対象を入れていないのでよく分からないですね。肉が600gあるというだけでも何となくは分かると思います。

 食べます。柔らかい肉というのはカレーなどでも食べられますが、それとは違い繊維がしっかりしています。それでいて非常にやわらかく非常にマジで本当に美味しいです。色だけでなく味もまた違法です。確かにこれはローストビーフらしい感触です。赤ワインも合います。2人で食べたので一人当たり300g、それにポテトピューレとご飯と少食の僕には結構な大盛りだったのですが、それでも美味しく食べることが出来ました。g98円の煮込み用肉でこれなのでちゃんとした肉を使うとどうなるか気になりますね。最悪死ぬ可能性もありそうです。

 漫画では味付けは塩胡椒と醤油だけでしたが、300gもそれで食べると飽きるのでタレがあると良いかなと思いました。次回は作ってみることにします。あと、60℃を切った温度で調理するとさらにやばさが増すらしいのですが、そうなると調理時間も増えるので少し現実的でないですね。あと超級カツ丼も作りたいですね。

 

 以上、低温調理でした。この料理は手間が少しかかるだけで難しいことは一切無いので、料理好きの方はやってみることをお勧めします。お湯が冷める速度さえ理解すれば後はお湯を入れ替えるだけです。ぜひやってみましょう。